ミャンマー国軍が徴兵開始か 「絶望」する市民、自殺者も相次ぐ

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ヤンゴン=笠原真
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 2月にミャンマー国軍が導入を発表した徴兵制が、一部地域で始まった模様だ。兵力不足が指摘されるなか、開始時期を当初の予定より早めた可能性がある。国軍は徴兵を「平和と安定のため」と強調するが、国内の混乱が収まる気配はない。市民の動揺は日に日に増している。

 「息子を徴兵に行かせるしかないのか。そう思うと絶望的な気持ちになる」。最大都市ヤンゴンに住む男性(54)が1日、朝日新聞の取材に疲れた様子で語った。3月下旬、息子(27)が徴兵の候補になったと、役所から一方的に知らされたという。

 船員として働く息子は現在英国にいるため、代わりに息子の身長体重や住所、パスポート番号などの個人情報を届け出るよう要求された。しかし「応じれば息子は帰国を強要され、身体検査や軍事訓練を受けさせられる」と考え、40万チャット(約3万円)の賄賂を払い、一時的な猶予を求めた。ただ、役所からは「約束はできない」とも言われている。

 息子は3カ月後には船の仕事を終えて帰国する。「心配をかけたくない」と、徴兵については伝えていないが、「他の若者のように息子を国外に脱出させれば、私たち家族が国軍に捕まるかもしれない。賄賂も払い続けられない。八方ふさがりで、国軍への怒りと憎しみで体が燃えるような感覚だ」

出国希望者また増加、日本大使館にも長蛇

 国軍は2月、18歳以上の男女を対象に徴兵を始めると発表した。当初、4月中旬にミャンマーの新年が明けてからとしていたが、複数の現地メディアは3月末、国軍がヤンゴンなどの軍施設に多数の男性を招集し始めたと報じた。民主派や少数民族武装勢力との戦闘で兵力不足が指摘されるなか、国軍が開始を急いだとみられている。

 徴兵の発表直後から、国軍統…

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