国内最高齢パンダ「タンタン」死ぬ 神戸の王子動物園、震災後に貸与

杉山あかり 小川聡仁
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 神戸市は、市立王子動物園(同市灘区)で飼われていた雌のジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」が3月31日に死んだと、1日発表した。日本にいるパンダで最高齢で、人間の100歳に相当する28歳だった。

 神戸市によると、3月31日午後10時ごろ、タンタンが呼吸をしていないのではないかと飼育員が気づいた。獣医師らによって蘇生措置が施されたが、同日午後11時56分に死亡が確認された。

 死因は心臓疾患に起因した衰弱死とみられるという。

 1日午後に会見を開いた加古裕二郎園長は「見た人みんなを笑顔にさせてくれる、太陽みたいな存在だった。愛してくださった全ての方に心から感謝申し上げます」と話した。

 タンタンは、阪神・淡路大震災で被災した神戸市が、「被災地に明るい話題を」と要望し、2000年に中国・四川省から貸し出された。名前は一般から公募。21世紀の幕開けという意味を込め、地平線上に太陽が現れる夜明けを意味する「旦」を使って名づけられた。

 来日の目的のひとつは、日中共同飼育繁殖研究だったが自然繁殖に至らなかった。

 07年には死産を経験。08年には国内で4例目となる人工授精による出産に成功したが、四川大地震で中国の専門家の支援が受けられなかったこともあり、赤ちゃんは生後4日目で死んだ。

 02年に借り受けた雄パンダの「コウコウ(興興)」と共に飼育されてきたが、コウコウが10年に死に、以降は1頭で過ごしていた。

 合意していた飼育期間が満了するとして、20年に中国への帰国が決まったが、コロナ禍で延期に。21年4月には加齢が原因とみられる心臓疾患が見つかって強心剤の投与などが続けられ、返還期限の延長が続いていた。

 タンタンの死で、日本国内にいるパンダは上野動物園(東京)4頭、アドベンチャーワールド和歌山)4頭の計8頭となった。(杉山あかり、小川聡仁)

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