「背中に乗れ!」防火服の父に助けられた 最強の消防団をめざす原点
横浜市の18区で唯一、消防団が分かれていた中区の伊勢佐木、加賀町、山手の3消防団が統合され、1日から「中消防団」となった。他の区で統合が進むなか、中区では地域性の違いからこれまで別々に活動してきたが、「地域を守りたい」との思いで一致した。指揮命令系統を統一することで、大震災などの大規模災害に備える。
発端は2021年2月に開かれた合同幹部会議。当時の3消防団長が過去の大規模災害の事例を踏まえて統合の必要性を提言した。
その後、統合の是非を話し合う検討会が発足し、24年4月の統合をめざすことが決まった。検討会は「中消防団発足準備委員会」に名称を変え、統合に向けて準備を重ねてきた。
ホースの扱いにも「地域性」
「それぞれの街に長い歴史と背景がある。ホースの扱いひとつとっても地域性があり、簡単にはいかなかった」。こう振り返るのは、発足準備委員長を務め、中消防団の初代団長に就任する加賀町消防団長の高橋伸昌さん(65)だ。
高橋さんによれば、山手はホースをぐるぐる巻きながら水を押し出し、加賀町はホースを肩にかけ水を出してからぐるぐる巻く。同様に伊勢佐木にもやり方があり、「それぞれが最も効率的と思っているから一筋縄ではいかない」。
歓楽街をもつ商業地の伊勢佐木、住宅地の山手、中華街と官公庁の加賀町。消防団の成り立ちも地域性も異なり、郷土愛も強いぶん互いに張り合う気持ちも生まれる。
技術や手法の違いは「我が町こそ一番」と切磋琢磨(せっさたくま)してきた結果だ。だが、統合すれば3消防団の英知を結集できるはず――。
小学生時代に隣家から出火、そのとき…
昨年からは統合後の効果的な…