ハリウッドで闘い続けた真田広之 オーセンティックな日本の描写を

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編集委員・石飛徳樹
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 戦国末期の日本を舞台にしたハリウッド発のドラマ「SHOGUN 将軍」が2月末からディズニープラスで配信されている。主演の真田広之は約20年前に米国に拠点を移し、ハリウッドにおける日本の描き方をオーセンティック(本物志向)にしようと闘ってきた。彼が今回はプロデューサーを兼務。長きにわたる異国での闘いに決着を付けようとしている。

 このドラマは米国のジェームズ・クラベルが1975年に発表した小説を元にしている。80年にも米国でテレビドラマ化され、日米で人気を集めた。

 真田が演じるのは徳川家康をモデルにした大名の吉井虎永。彼が石堂和成(石田三成がモデル、平岳大)ら他の有力大名らと繰り広げる権謀術数に、伊豆に漂着した英国人の按針(三浦按針がモデル、コズモ・ジャービス)や、キリシタンの鞠子(細川ガラシャがモデル、アンナ・アワイ)らが絡んでいく。人間を深掘りした全10話のドラマだ。

 「最初は、出演だけのオファーでした」と真田は言う。「後に参加したクリエイターのジャスティン・マークスとレイチェル・コンドウに『日本の観客に、変だと思われないものにしたい。プロデューサーを兼ねてくれないか』と言われ、『望むところです』と答えました」

 真田は2003年、日本の幕末を描いたトム・クルーズ主演の「ラストサムライ」に出た。その後、ロサンゼルスに移り住み、「ウルヴァリン:SAMURAI」「47RONIN」「MINAMATA―ミナマタ―」など、日本を扱った数々の映画に出演してきた。

 山口淑子がヒロイン役の「東京暗黒街・竹の家」やマーロン・ブランド主演の「サヨナラ」、ジョン・ウェイン主演の「黒船」など日本が舞台のハリウッド映画は多い。しかし「フジヤマ・ゲイシャ」という誤った東洋趣味のイメージで描かれがちだった。

日本から時代劇のスペシャリストを

 真田も、出演作におかしな日本の描写があるたびに意見を言ってきた。「しかし、俳優としての関わり方では限界があるとずっと感じていました。今回のオファーをもらった時、プロデューサーになれば正式にものが言えると思いました」

 真田は、日本から時代劇のス…

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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2024年3月30日17時7分 投稿
    【視点】

    ハリウッド映画の日本人の役は日本人俳優が演じる。当たり前だと思ってしまうが、そうなるまでに長い年月と苦労があったことがわかる良い記事だと思う。一方で、多様性の行き過ぎには注意しなければならばいという末尾のコメントにも深く同意する。普遍性がな

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2024年3月31日16時46分 投稿
    【視点】

    真田さんには、よくここまで頑張ってくださったという感謝の気持ちでいっぱいになりました。 「日本人役は全部日本人が演じる」あるいは、そうするべきなのかどうか、については、今まさに映画界あるいは演劇界の話題の1つになっていますよね。 例えば

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