フィジーが中国警官を国外退去に 首相「援助の代償は?」と問いかけ

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バンコク=大部俊哉
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 南太平洋の島国フィジーが、自国に駐在する中国人警察官を中国に送還したことがわかった。ランブカ首相がオーストラリアメディアのインタビューで明らかにした。フィジーは中国と警察協力協定を結んでいるが、2022年のランブカ政権誕生後、破棄を検討していた。ランブカ氏は「中国の存在感の高まりが太平洋地域の民主主義を弱体化させることを懸念している」と語った。

 軍事クーデターで実権を掌握したバイニマラマ前政権は、豪州ニュージーランドとの関係が悪化したことから中国と接近し、2011年に中国と警察協力協定を結んだ。以後、中国の警官派遣を受け入れ、フィジーの警官を中国で訓練させるなどしてきた。

 しかし、政権交代で誕生したランブカ政権は豪州などとの関係を重視し、協定を見直す方針を示していた。

 15日にティコンドゥアンドゥア内務・移民相が英紙の取材に、協定の維持を決めたと述べたが、その後、ランブカ氏は豪ABCニュースが28日に報じたインタビューで、フィジーに駐在していた中国警官を国外退去させたと明かした。「深く検討した結果、中国の警官を駐在させる必要はないとの結論に至った」としている。

 ただ、中国側との協議は続いているとし、中国での上級警察官の訓練は「長年にわたり恩恵を受けてきた」として、続けたいとの意向も示した。

ソロモン諸島、バヌアツでも 中国警察の影響力拡大

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 台湾や南シナ海をめぐって緊…

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    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2024年3月30日21時38分 投稿
    【視点】

    欧州議会でも4月10日夕方、「中国警察の欧州での活動」をテーマに議論する予定が入っています。EUメンバーで親中を隠さないオルバン首相のもと、ハンガリー政府が中国政府と警察の共同パトロールで合意したこともあって、域内における中国警察の存在につ

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