横浜みなとみらいの対岸に米陸軍が新部隊 中国念頭に輸送力を強化

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具志堅直
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 米軍施設「横浜ノースドック」(横浜市神奈川区)は、オフィスビルや商業施設が立ち並ぶ横浜みなとみらい21地区から、1キロほど海を隔てた対岸にある。先月8日、ここで米陸軍の小型揚陸艇部隊「第5輸送中隊」の運用が始まった。

 昨年1月に日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意し、米陸軍は目的を「インド太平洋地域での災害発生時を含む緊急事態における海上機動力を強化するため」と発表した。防衛省によると、在日米陸軍第10支援群(司令部・沖縄県読谷村)の下に置かれ、要員280人を本年中に配置していくという。

 これに対し、神奈川平和運動センターは「横浜港を戦争の拠点にするな」と部隊と防衛省に抗議した。市内の弁護士ら有志も昨年、5万7千人超の署名を集めて配備撤回を求めるよう横浜市に要請。同市は、市内の米軍施設の早期全面返還を求め、ドック機能が強化されないよう政府や米側に要請してきた経緯がある。

 ドックは、外国貿易用に建設された瑞穂埠頭(ふとう)の一角にあり、戦後、米軍に接収され、朝鮮戦争ベトナム戦争で戦地に物資を送る積み出し港として稼働。1972年には、米陸軍の相模総合補給廠(しょう)(相模原市)からドックへの戦車の移送を市民らが阻止した「戦車闘争」で知られる。

 基地監視団体リムピースによ…

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2024年3月31日8時6分 投稿
    【視点】

    横浜ノース・ドックへの米陸軍部隊の運用開始は目立たないかも知れませんが、立場にかかわらず注目して欲しい動きです。この記事はそれぞれの立場を紹介しているので一読に値します。 ノース・ドックは写真と地図でも分かるように、みなとみらいの対岸にあ

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