ストーカーの相談が6年ぶり増加 禁止命令は最多、加害者対策を強化
ストーカー事案で昨年警察に寄せられた相談は前年比3.7%増の1万9843件で、6年ぶりに増加した。ストーカー規制法に基づき被害者への接触などを禁じる禁止命令は、過去最多の1963件にのぼった。警察庁が3月28日に発表した。警察では医療機関での治療を働きかけるなど、加害者への取り組みを進めている。
ストーカー事案の相談は、過去最多の2万3079件だった2017年以降減少が続いていたが、昨年は前年から712件増加。
ストーカー規制法違反での摘発は年々増えており、昨年は最多の1081件(前年比5.2%増)。刑法犯などでの摘発も4年連続で増加し、1708件(同3.5%増)にのぼった。
禁止命令、10年前に比べ19倍
被害が増えるなか、加害者への対策が強化されている。禁止命令は8年連続で増えており、10年前に比べて19倍となった。これまでは警告が禁止命令を上回っていたが、昨年に逆転。2016年の法改正では、加害者への聴聞や警告を必要としない緊急禁止命令が出せるようになり、昨年は禁止命令の6割を占めた。
また、各地の警察で16年度から、加害者ごとに治療やカウンセリングの働きかけが行われている。昨年は1747人に治療の働きかけがあり、16年度以降で最多の176人が治療を受けた。前年より23人多い。ただ、8割超の1465人は受診を拒否した。
今後はリーフレットなどを使い、加害者全員に治療やカウンセリングについて知らせる。禁止命令を受けた加害者には、警察が連絡して近況などを確認する制度も始めるという。(板倉大地)…