移住した若者3人はマタギになった 預け合う命、過疎の村で学ぶ精神

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遠藤和希
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 日本有数の豪雪地帯、長野県新潟県にまたがる秋山郷には、マタギと呼ばれる伝統的な狩猟法を受け継ぐ猟師たちが暮らす。しかし、高齢化と過疎化の波にはあらがえず、マタギはその数を徐々に減らしてきた。そんな村に移住してきた3人の若者がマタギになった。伝統的な猟の教えを受け継ぎたいと、マタギの文化を少しずつ学んでいる。

春グマ猟で伝える文化

 長野県栄村では春になるとマタギたちの声が森にこだまする。「ホーイ、ホイホイッ!」。マタギがクマを追い立てるかけ声だ。

 雪が残る沢筋を山の頂に向かって一斉に登っていくマタギたち。クマを追いかける「勢子(せこ)」を村に移住して4~5年の若いマタギらが担い、その先で逃げてきたクマを仕留める「矢場」をベテランのマタギが務める。

 マタギならではの伝統的な狩猟法で、許可を得て行われる「春グマ猟」は、地形の起伏ややぶが雪で埋まってクマを追いやすい4月はじめに本格化する。冬眠明けのクマをねらう春グマ猟は、雪が残ったこの季節が足跡も追いやすい。

 秋山郷の長野県側にあたる栄村では、11月15日から翌年2月15日までが通常の狩猟期間。ただ、冬に冬眠中のクマをねらう「穴グマ猟」はクマの保護のため行っていないので、村では春にクマ猟の季節を迎える。

30年前に20人以上いたマタギは4人に

 春グマ猟の矢場を担うのは…

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