がんと診断された人やその家族に確かな情報を届けたい――。国立がん研究センターがん対策研究所は、「がん情報ギフト」プロジェクトへの寄付を募っている。
2017年に始めた事業で、がん情報を集めて分析、信頼性などの評価をして冊子やちらしを作製。それらを全国の600を超す公共図書館に寄贈している。
個人や企業から集まった寄付金は、冊子の印刷や送付などの経費に充てている。寄付する際にどの地域に送る冊子への経費に充ててほしいか、指定もできる。
冊子には、胃や肺など部位別のがんの基礎知識や、治療と仕事の両立、緩和ケア、家族ががんになったときの対処法などの種類がある。寄贈する図書館が増えるなか、新たな冊子の配布や補充も継続している。23年度は、小児がんや禁煙についての冊子づくりに取り組んだ。
「もっと増やしてほしい」と利用者
冊子を利用した人からは「図書館通いをしていた妻が、がんコーナーから冊子をもらってきて、診断が確定するまでに気持ちの整理をつけることができた」「もっと多くの人に手にとってもらえるよう、このような機会を増やしてもらえたらうれしい」などのメッセージが寄せられている。
プロジェクトリーダーの若尾文彦医師は「ネットを使えない高齢者らには、図書館で入手できる冊子が役に立つようだ。がんと診断されていない人にも、確かながん情報に触れる機会になる。さらなる支援をお願いしたい」と話す。
問い合わせは同研究所がん情報ギフトプロジェクト事務局(03・3547・5201、内線1620、1615 メール ganjoho-gift@ncc.go.jp)へ。(編集委員・辻外記子)