8年経っても未完成の学習館、なぜ?「改ざん」めぐり県と業者が対立

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高橋俊成
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 愛知県発注の建物が完成予定から約8年が過ぎた今も、ほぼ手つかずという異例の事態が起きている。施工法を巡る県と業者との対立が訴訟に発展し、解決していないためだ。勝敗の鍵を握るのは双方が所有する工事計画書だ。内容は本来同一であるはずだが施工法の部分だけが食い違い、互いが「改ざんした」と非難し合っている。

 県中央部の安城市碧南市にまたがる県営油ケ淵水辺公園。この一角に塀で囲まれ、雑草が茂る区画(約640平方メートル)がある。今年1月、地元住民に声をかけると「何かできるんですか?」と返ってきた。

 県公園緑地課によると、この区画には周辺の自然環境を学ぶことができる体験型施設「水辺の学習館」(仮称)が設置される計画だ。県は2014~15年度予算に建設費約1億5千万円を計上。この半額を国の交付金でまかない、16年の完成を目指していた。

 工事は一般競争入札岡崎市の「逸和工務店」が落札。だが、工事は始まってから約半年で止まった。建物の基礎の途中までできた段階だったが、県が施工法などが計画書の内容と異なると指摘したためだ。

 一方、業者側はこの指摘に反論。双方の意見が対立するなか、県は16年1月に契約解除を業者側に通知。業者側は契約解除の取り消しを求めたが受け入れられなかったため、16年3月に県に損害賠償を求める訴えを名古屋地裁岡崎支部に起こした。

計画書の真偽が最大の争点

 問題となった計画書は、業者が工事の作業前に県側に提出したものだ。県が工事内容の適性を承認した上で、一部は県が控えとして保管し、もう一部は業者に返還した。その内容は全く同じでなければならない。

 ところが、双方が訴訟で証拠…

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