名取・閖上でヨシ原の火入れ「復活」 豊かな生態系を育てる

石橋英昭
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 宮城県名取市閖上の名取川の中州で23日朝、ヨシ原への火入れ(野焼き)があった。古い草を焼き、新芽の成長を促してきれいなヨシ原にすることで、水辺の豊かな生態系をはぐくむ狙いだ。閖上のまちの新たな魅力にしようと、関係機関が取り組んだ。

 火入れが行われたのは、約5千平方メートルほどの中州の島。各地で火入れに取り組んできた研究者らが、背丈を超えるヨシ原に分け入って着火すると、炎が早い速度で広がった。焼けきるまで20分ほど。対岸の商業施設・かわまちてらす閖上から、双眼鏡でのぞきこむ人の姿もあった。

 水辺に繁るヨシは、以前はかやぶき屋根などに使われてきた。名取川では行われていなかったものの、火入れは、かつてはあちこちで春の風物詩だった。

 東北大の占部城太郎教授によると、野焼きによって土壌の栄養が増し、昆虫や野鳥も住みつく。逆に放置したままだと、枯れたヨシが大雨で流され、プラスチックごみがからまって海岸に漂着するなどの影響があるという。

 占部さんらの提案を受けて、国土交通省仙台河川国道事務所、名取市などが話し合い、今回の実施にこぎつけた。

 ただ、風に乗った草の燃えかすなどが閖上の市街地に落ち、住民から苦情もあった。来年以降も実施するかどうかは未定という。石橋英昭

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