還暦過ぎて資格取得、司書として働く丸山重治さん 塩尻市立図書館

安田琢典
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 長野県塩尻市立図書館に30人いる司書の中で最高齢。だが、キャリアはまだ2年半に満たない。そもそも丸山重治さん(62)が司書の資格をとったのは還暦を過ぎてからだ。

 きっかけは55歳のとき、勤め先の会社で定年後の生き方を考えるセミナーに参加したことだ。

 高校を出てずっと、県内の精密機器工場で技術者として働いてきた。定年は60歳。最長5年の再雇用期間もあるが、「やり切った」との達成感を覚えていた。

 「人生の残り時間は少ない。違う世界に触れてみたい」。持ち前の飽くなき向上心に火がついた。危険物取扱者など10種類の資格を取得した。

 幼い頃、母親が買ってくれた世界文学全集は宝物だった。小学校では率先して図書委員になった。大好きだった書物と関わる仕事に就いてみたいとも思うようになった。

 定年目前の2021年1月から近畿大短期大学部の通信教育部で学び直し、司書の資格を取った。同年10月、塩尻市立図書館に採用された。

 現在は農林水産業などに関する新刊の選書や、同市の特産品でもあるワインに関する特設コーナーの企画などを任されている。同図書館最大の企画でもある、作家やジャーナリストらの講演を通じて本の魅力を発信する講座「本の寺子屋」の運営にも関わっている。

 司書といえば「カウンターで本を貸してくれる人」というイメージだった。

 しかし実際に働いてみると、「SNSで拾った情報ではなく、官公庁の刊行物や新聞など正しく裏付けのある情報を、情報が欲しいと考える利用者につなぐこと」が重要な役割だと思うようになった。

 「最低でも10年は情報のコンシェルジュとして元気に働き、多くの利用者の役に立ちたい」(安田琢典)

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