第7回「ばあちゃんだまされたん?」ふさぎ込む記者の祖母 詐欺が奪う自信
昨夏の夕方、北陸に住む父(57)からLINEが届いた。
《今日何時ごろに来る?一人で?》
記者(28)は大阪市内の本社で仕事中だった。帰省なんて予定もない。
《来るってばーちゃん言ったから》
父と同居する祖母(81)には数日前、送ってもらった梨のお礼の電話をかけた。何か勘違いしたんだろうぐらいにしか考えていなかった。
特殊詐欺の被害に遭ったのは、記者(28)の祖母(81)でした。連載の第7回は、被害者の孫である記者の目線から描きます。(事件の特性を踏まえ、この連載では、記者以外の登場人物を仮名表記しています)
再び父から。《電話した?》《今日昼間にした?》
していない。血の気が引いた。
とっさに頭に浮かんだのは、「アポ電強盗」。
高齢者宅に事前に電話をかけ、資産状況や家族構成を聞き出した後、強盗に入る手口だ。「ルフィ事件」と呼ばれる数々の強盗事件が各地で起きていた。命を落とした人もいる。
その前兆の電話「アポ電」がかかってきたのか。
父に注意するようLINEを送った。なかなか既読にならない。
約20分後、父から電話がか…
- 【視点】
ばあちゃんどうなったと気になって最後まで一気に読んでしまいました。自分の母親、父親の姿が思い浮かびました。そして自分の子どものことも。自分の家族が、被害者にも、加害者にもならないように、我々世代にできることはなんだろう。考え始めると頭の中が
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