高層マンションきっかけ 新たな住民の動き 「まちはどこへ」(下)

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杉村和将
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 紺屋町まちづくりの会。

 2月、盛岡市でそんな名称の会が生まれた。

 参加者は、紺屋町やその周辺で商売を営む人たち。

 高層マンションの建設で街並みが変わろうとしている今、都市景観の新たなルールづくりや、目指すまちづくりの方向性などを話し合うために結成された。

 藩政時代の旧奥州街道沿いに発展し、昔ながらの趣を残す工芸品店や商家をはじめ、さまざまな店が集まる紺屋町。だが、これまで商業者同士の横のつながりはなく、こうした会ができるのは初めてのことだった。

 呼びかけ人となったのは、老舗そば店「東家」の高橋大さん(57)。

 街のランドマークだった「菊の司酒造」の酒蔵が昨年末に取り壊された。酒蔵の向かいにあった「角打ち」ができる人気酒店も同じタイミングで閉店した。

 「歴史と伝統が消え、コミュニティーの場も消えた。そのショックが冷めないうちに、酒蔵の跡地でのマンション建設が判明した。喪失感が大きく、私たちは本当はどんな街を望んでいるんだろうと、考えるきっかけになりました」

 動きだしが遅れたこともあり、すでに進んでいるマンション計画を止めるのは無理だとわかっている。反対運動をするつもりはない。しかし、草の根レベルのつながりを、今後のまちづくりへの大きな一歩にしたい――。

 実は、マンション建設から新たな結束が生まれる動きは、以前にもあった。

意識変えた取り組み

 紺屋町かいわいで12年間続…

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