「最悪の判決」「命より裁判所が上か」 大川原化工機の元顧問の遺族

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比嘉展玖

 起訴を取り消された「大川原化工機」(横浜市)をめぐる事件で逮捕・起訴された同社顧問の相嶋静夫さん(当時72)が亡くなったのは、勾留先の東京拘置所の医師が適切な措置を怠ったためだとして、遺族3人が国に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。男沢聡子裁判長は国の責任を認めず、遺族らの請求を棄却した。遺族は「人命軽視だ」などと判決を批判した。

 「想定していた中で最悪な判決だ」

 判決後に開かれた会見で、相嶋さんの長男(50)は言った。「父が拘置所の中で受けた苦しみに対して、裁判所には十分に理解してもらえなかった。墓前には『残念だったね』と伝えるが、今後も父の無念を晴らせるように活動していきたい」と話した。

 司法関係者に拘置所での医療の現実を問題提起する思いもあって提訴したという。「私たちの立場にならないとわからないのか。裁判官には想像力を働かせてもらいたい」と訴えた。

 静夫さんの妻(75)は朝日新聞の取材に、「何も悪いことをしていないのに夫はなぜ死ななければならなかったのか。悔しい」と声を震わせた。

 静夫さんはがんが見つかった後も保釈が認められなかった。「夫は外部の病院でしっかり検査を受けることさえ認められなかった。人命よりも裁判所の判断のほうが上にある、という判決内容だと感じた」と言う。「根底にあるのは、人の命を軽視する感覚だと思う。『人質司法』と根底にあるのは同じではないか」

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