脳死の臓器提供数に病院格差 岡山大「半数以上の家族が選択」

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阿部彰芳

 脳死の人からの臓器提供を認めた臓器移植法の施行から今年で27年になる。だが、大学付属病院の4割は、脳死の人からの臓器提供がゼロであることが厚生労働省の資料で明らかになった。提供が多い施設は、どこが違うのか。

 厚労省の資料によると、昨年9月末時点で、144の大学付属病院から計401例の脳死の人からの臓器提供があった。最多は岡山大学病院の27例で、東京医科大学八王子医療センターが21例、藤田医科大学病院が19例、北海道大学病院が18例と続いた。

 提供数が多い上位20施設だけで過半数の計226例を占め、59施設(41%)はゼロだった。

 大学付属病院のなかで臓器提供数が突出している岡山大学病院の中尾篤典・高度救命救急センター長によると、脳死と判断された患者の家族には、臓器提供に対する患者の意思や家族の希望を必ず聞き、最終的には、半数以上の家族が臓器提供を選んでいるという。

 一般の病院では、臓器提供という選択肢を家族に提示することを医療者がためらい、家族の側から希望しない限り、臓器移植について語られないことが多い。

 中尾センター長は「臓器提供は患者さんの権利。でも本人は話せない状態なので、臓器提供の意思表示をしていなかったか、探すことが大切」と強調する。

 問題はそのタイミングという。

容易に受け入れられない「助からない」

 「家族に聞いてもらえる状態なのか、雰囲気なのか。それまでに、すべきことをきちんとしたのか。そうでないのなら、家族が受け入れられないのは、当たり前だ」

 救急現場に搬送されて脳死に…

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