アベノミクスへの期待、徐々にはがれて……賃金・雇用増、感じにくく

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磯田和昭

世論に見る平成の内閣69

 朝日新聞は1946年から世論調査を実施しています。過去の調査を繰り、歴代内閣を振り返るシリーズを随時配信します。

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 日本銀行がマイナス金利を解除し、長らく続けてきた金融緩和の修正に大きく踏み出しました。これまでの「異次元の金融緩和」は、安倍晋三首相が2012年末からの第2次政権で進めた経済政策「アベノミクス」の流れをくむものです。当初の期待は比較的高かったのですが、政権の期間が長くなるにつれ、厳しい評価が目立ちました。

 日銀の金融政策はわかりにくいこともあって、世論調査で直接取り上げたことは、ほとんどありません。

 ですが、マイナス金利政策を打ち出した直後の16年2月の調査(電話)では、その目的を「金融機関の企業への貸し出しを増やすため」だと説明したうえで、この政策で景気回復が期待できるか質問しています。それほど大きな出来事だと考えたのです。

 結果は「期待できない」が61%と多数で、「期待できる」という回答はわずか13%でした。企業への貸し出しが増えたとしても、そこから先の生活者に本当に恩恵が及ぶのか疑念があったと思われます。

 金融緩和のほか財政出動、成長戦略を柱としたアベノミクスについては、世論調査で「安倍首相の経済政策」という言い回しで繰り返し、いろんな角度から聞いてきました。

 当初こそ「賃金や雇用が増えることに結びつくと思う」と期待する回答が4割前後ありました。しかし、期待はその後3割前後に落ち込みます。

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 その後の調査で、賃金・雇用…

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