クリミア併合10年、不法滞在80万人 政府高官「解放は現実的」

有料記事ウクライナ侵略の深層

聞き手・藤原学思 喜田尚
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 ロシアがウクライナ領クリミア半島を一方的に併合してから、3月18日で10年になります。ロシアによる全面侵攻を受けるウクライナは、いまもまだ、クリミアの奪還を諦めていません。では、その道筋は見えているのでしょうか。「奪還後」はどのように統合していくのでしょうか。ウクライナ政府でクリミア問題を統括するタミラ・タシェワ大統領代表(38)に、キーウで話を聞きました。

 ――あなたはクリミア半島に起源を持つ少数民族「クリミア・タタール人」でもあります。

 私は2013~14年、キーウで(親ロシア派政権を退陣に追いやった)「マイダン革命」に参加していました。当時の出来事の流れはとても早く、14年2月26日にクリミアでロシアの占領に反対する大規模なデモがありました。その翌日には、クリミアの議会庁舎がロシア側によって占拠されたのです。

 私は人権活動家としてのバックグラウンドがあり、14~19年は、クリミアの人権を守るためのNGO団体「クリミアSOS」などで活動しました。クリミアで最後に過ごしたのは、ロシアが占領する直前の14年1月です。

 ――10年間も故郷に帰ることができていないのですね。

 私の親も多くの友人もまだ、クリミアに暮らしています。全面侵攻が始まる前までは、南部ヘルソン州とクリミア半島を行き来することができていたので、彼らはキーウまで私を訪ねてくれました。ただ、いまはそれがかないません。私が両親に最後に会ったのは、20年のことです。クリミア・タタール人の家族の関係は本来、非常に近いものなのですが。

 ――クリミアに帰るという希望は薄れていますか。

 近い将来、クリミアを再訪することが非常に難しいというのは理解しています。ただ、絶対に実現しなければなりません。私たちは、黒海周辺における(ウクライナ軍の)軍事行動を目にしています。以前のロシアのナラティブ(物語)では、親ロシア派の住民にとって、クリミアは「平和」な場所でした。ただ、(ウクライナ軍が積極的に攻撃を仕掛ける)現在は「ロシアが守る」という対象になっています。ロシアのナラティブを変化させたわけです。

迫害される住民たち

 ――ロシアから何人ぐらいが不法に入植したのでしょうか。

 14年以降で、不法に滞在し…

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