マヒトゥ・ザ・ピーポーがあらがいたいもの 初の映画「i ai」

有料記事

平岡春人

 真っ赤な衣装に身を包んで、社会への怒りを叫び、かけがえのない瞬間について歌うロックバンド、GEZAN。そのフロントマン、マヒトゥ・ザ・ピーポーが、初めて映画監督を務めた。「i ai」と題した青春映画だ。

 物語は自身の体験に基づく。映画をつくった動機を「あらがいたかったから」と話す。

 「ずっと続くかのような奥行きを見せてくれた瞬間が、平気でタイムラインの後ろに流されたり、(記憶の中で)はかなく色を落としたりする。残したかった」。映画は、人の複雑さに向き合い、人の息づかいを記録するのに適した、豊かな存在だという。

 主人公のコウ(富田健太郎)が、地元のバンドマン、ヒー兄(森山未來)に導かれてバンドを始める。労働に生活を支配されていたコウは新たな人生を満喫するが、一方でヒー兄は、成功や社会から逃げるかのように不可解な行動に走る。

 映像でGEZANを象徴する赤を、セリフで「空」や「海」といった単語を、GEZANの曲の歌詞にある単語を、ときに詩的に用いて、情景をつむぐ。

 クラブやライブハウス、映画…

この記事は有料記事です。残り402文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トク】締め切り迫る!記事が読み放題!スタンダードコース2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
平岡春人
文化部|映画担当
専門・関心分野
映画、音楽、人権