第4回「もしトラ」対応急ぐ日本政府 ロビー企業と契約「新たな関係構築」

連載 トランプ再来 備える日本と世界:④

 1月10日、米ワシントンの連邦議会議事堂に、自民党副総裁の麻生太郎氏がいた。「トランプ前大統領には大統領時代、何度も会ったことがある。とても話しやすく、ユニークな人だ」。麻生氏は講演を終えた後、トランプ陣営の関係者に面会するのかと米メディアに問われ、そう答えた。

 麻生氏は水面下で、トランプ氏との接触を模索していた。ワシントンの外交関係者の間でもその情報が事前に広まり、注目を集めていた。

 共和党の候補者指名争いで圧倒的優位が見込まれたトランプ氏に麻生氏が面会すれば、関係の再構築を急ごうとする意図が明らかで「露骨すぎる」(ワシントンの外交筋)との見方があったのも事実だ。日本政府内でも、民主党のバイデン政権への配慮から「外交儀礼上良くない」(外務省関係者)という声も出ていた。ワシントンでの講演の翌日、麻生氏はニューヨークに飛んだ。日程の都合もあり、トランプ氏との面会は実現しなかった。

 だが、日本側のトランプ陣営への接触の試みは終わったわけではない。人気小説の略称をもじり、「もしトラ」(もしトランプ氏が再び大統領に当選したら)という言葉が、日本政府関係者の間でも頻繁に使われている。

【連載を最初から読む】トランプ再来 備える日本と世界 アメリカ大統領選2024

11月の米大統領選で、もしトランプ前大統領が当選したら? 選挙戦はこれからなのに、早くもそんな議論が巻き起こっています。「第2次政権」が誕生したら、米国、日本、世界はどう変わるのか。見取り図を示します。

日本政府の危機感とは

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 背景には、「第2次」トラン…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年3月21日8時24分 投稿
    【解説】

    日本では、しばしばある成功体験があると、そのやり方にこだわりすぎて結局状況の変化をつかみ取れず、失敗することがある。半導体や携帯電話にしても、一度成功したがゆえに、そのやり方にこだわり失敗してきた。トランプとの付き合い方も、過去に成功体験が

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