第11回「愛の冷めない距離」は徒歩1分 人生の終盤にふたりが出した答え

有料記事ふたりのかたち

島脇健史
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 世界遺産石見銀山のある島根県大田市大森町は人口約400人。地域には今も古い町並みが残る。町内を通る一本道沿いに、松場大吉さん(70)、登美さん(74)夫妻は暮らす。

 結婚して50年。「近距離別居」を始めて20年。今、互いの住まいは歩いて1分ほどの距離だ。

 大吉さんは、夜に妻の家の前を通ると、明かりがついているのを確認する。そして思う。「今日も元気でやっているな」

 登美さんは近距離別居を「いいことばかり」と話す。

幸せになるために、人生をともに歩むと決めたはず。でも、パートナーとの毎日が思い描いたものにならない人もいます。苦しみの原因は、改善策は。たくさんの「ふたりのかたち」を通して考えます。

 2人は名古屋市のアパートに隣同士で住んでいたことが縁で結婚。7年後、大森町にある大吉さんの実家に移り住んだ。

 2人はアパレルなどを手がけるブランド「群言堂(ぐんげんどう)」を起こした。大吉さんが代表を務め、登美さんはデザイナーとして働いた。3人の娘の子育てをほとんど担ったのは登美さんだ。

 「遠慮せずに暮らしていて、知らないうちに登美さんに迷惑をかけていた」。大吉さんは振り返る。

「だったら1人で住んでみたい」

 妻と一緒に買い物に行くと…

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