ギャング襲撃で4千人脱獄、首相は辞任表明 ハイチで政情不安深刻に

真野啓太
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 政情不安が深刻なカリブ海の島国ハイチのアンリ首相は11日、辞任する意向を表明した。今月初めから、首相退陣を求める武装ギャング集団の暴動が激化し、治安が急速に悪化。周辺国が対応に乗り出している。

 ロイター通信などによると、首都ポルトープランスでは今月初め、ギャングが刑務所を襲撃し4千人近くが脱獄。空港や港湾などで戦闘や略奪、破壊行為があり、非常事態宣言が出された。全土で200を超えるギャングが活動し、首都の80%を占領しているとの分析もある。

 11日にはカリブ海諸国でつくるカリブ共同体(CARICOM)がハイチの治安悪化をめぐる緊急会合をジャマイカで開催。自由で公正な選挙によって政府が樹立されるまでの「暫定大統領評議会」を創設し、同共同体が政権の平和的な移行や治安回復に関与していくことで合意した。

 会合にはアンリ首相に対し政権移行を求めてきた米国のブリンケン国務長官も参加。治安回復を支援する国連主導の多国籍部隊に1億ドル(約147億円)を追加で拠出すると表明した。

 国連によると、今月の治安悪化で新たに1万5千人以上が居住地を追われ、国内避難民は累計36万人を超えるという。多数のハイチ人が中南米に逃れ、陸路で米国に向かっていることも確認されている。(真野啓太)

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