第6回記者15人で取材、元捜査員が明かす日野町事件の心証「あれは…」
「日野町事件」の捜査と裁判に、疑問が浮かんでいる。警察や検察、裁判所の内部で当時、何があったのか。今年2月、記者15人でかつての事件関係者を一斉に取材した。
リストアップした26人の元警察官
事件が起きたのは40年前だ。
「昨年亡くなりました」
「介護が必要な状態で、お話はできない」
家族からそう伝えられることもあった。
本人が在宅していても、「体調が悪い。ご勘弁ください」と断られることもあった。
リストアップした元警察官26人のうち、しっかり向き合えたのは7人だった。
事件記録によると、発生から逮捕までの3年3カ月の間に、県警は2度、阪原弘(ひろむ)・元被告を日野署で取り調べている。
元警察官の話を総合すると、元被告から事情を聴いたのは、いずれも捜査1課の「エース」と評される2人だったという。
2人は正反対のタイプだったという。
「静と動」
「おっとりとしゃきしゃき」
「太陽と北風」
初めて取り調べたのは事件から9カ月後だ。県警の手元にはすでに逮捕状があった。担当したのは「静」の取調官だったが、自白は得られず、逮捕を見送った。
その後、この取調官は捜査の中枢から外れることになったという。
元捜査員の1人「あれは無罪やね」
2年半後、県警は再び元被告…
- 【視点】
日野町事件を検証する連載記事によると、「死後再審」は、殺人事件では戦後1度しか認められたことがないという。その是非を最高裁が審理している重大局面で、40年前に発生した事件の捜査にあたった当時の警察官、検察官らがどのような思いを抱いているか
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