撤去された朝鮮人追悼碑、消される「負の歴史」民主的な公共空間とは
聞き手・宮崎陽介
群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」の朝鮮人追悼碑「記憶 反省 そして友好」が県に撤去された問題。彫刻家で評論家の小田原のどかさんは、公共空間の碑や彫刻は、過去を記憶・検証する定点観測装置でもあると見ます。そして今回の撤去を「歴史が消された前例となる」として重大視しています。
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群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」の朝鮮人追悼碑「記憶 反省 そして友好」の設置期間の更新を、県が不許可としたのが2014年。私がこの問題に深く関わり出したのは、その3年後です。群馬在住の美術家・白川昌生さんが碑を布で覆い隠したような美術作品を作り、展示前に県立近代美術館が撤去させた時。以後追悼式に出たり、今年1月末に県が碑の撤去工事を始める直前に追悼碑について取材したりもしました。
碑がなぜ、ここに作られ、撤去されなければならないのか。議論が市民に開かれていません。日本には戦争博物館のような施設が少なく、負の歴史にアクセスできる場所が必要です。撤去で戦時中に労務動員された朝鮮人犠牲者の可視化が許されず、「歴史が消される」前例となりました。
かつて、ここには軍関係の施…