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　九州最大の歓楽街、福岡市・中洲に唯一残る映画館「大洋映画劇場」が建物の老朽化のため3月末でいったん営業を終え、解体される。「映画の街」と呼ばれた中洲で歩んだ78年の歴史と魅力とは――。

　大通りの交差点で目を引く、角が丸い重厚なビル。日が傾き壁に明かりがともると、独特の雰囲気を醸す。3月11日夕、多くの通行人がそばで足を止め、スマホで撮影していた。

　「中洲大洋」の通称で親しまれる同劇場は、市内で現存する映画館では最古の歴史がある。岡部章蔵社長（72）によると、終戦まもない1946年4月、建設業を営む祖父の重蔵さんが木造の劇場を建てて開館。「戦争で心がすさんだ博多の人たちのために、明るい娯楽を」と始めた。祖母が名付けた「大洋」には、未知の大海原にこぎ出す、との思いが込められたという。

　「これからはアメリカの時代」と米大手映画の配給会社と契約。こけら落としはチャプリンの「黄金狂時代」で、2週間で約6万人を動員。開館1年目の入場者数は104万人を記録した。

　今の建物は52年に建て替えた鉄筋コンクリート4階建て。1階にカフェ、2階と4階の計4スクリーンで581席を備える。

　ドアを開け、らせん状の階段…