親子の食費は週1万円 生活保護の引き下げ「苦しみわかりますか」

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室矢英樹
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 小雪が舞い、冷気がほおを刺すような日でも、女性(66)はエアコンをつけない。最低気温が0度を下回る厳しい朝にだけ、石油ストーブの火をたく。

 電気代と灯油代を節約するため、湯たんぽとこたつでしのぐ日が続く。

 秋田市内にある築50年を超える集合住宅に、長女(36)と暮らす。親子2人とも躁鬱(そううつ)病と診断され、精神障害者保健福祉手帳(2級)を持つ。

 女性は2008年から生活保護を受けている。長女は20代の頃に交通事故に遭い、後遺症で無職に。09年に生活保護を受け始めた。

 病で体調がすぐれないときはスーパーで弁当か総菜を買うが、「1パックで400円も500円もかかる」。洗剤やティッシュペーパーなど日用品を購入すると、途端に余裕がなくなる。

 親子にとって「命綱」の生活保護。だが、国は13~15年の3年間に、生活保護費のうち食費などに充てる「生活扶助」の基準額を平均6・5%、最大10%を引き下げた。

 減額した国の決定は、生存権を保障した憲法25条に反するとして、全国で提訴が相次いだ。女性も15年、秋田県内の受給者とともにこの決定の取り消しを求める行政訴訟を秋田地裁に起こした。

 「役人のみなさんは、私たちの苦しみがわかりますか」

 女性はそう言い、保護費を元に戻してほしいと願う。

生活保護の減額をめぐる訴訟の控訴審判決が14日、仙台高裁秋田支部であります。一審判決は、原告側の請求を退けました。記事の後半では、控訴審判決に期待する原告女性の思いを紹介します。

 保険外交員だった頃は、生活…

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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年3月13日9時28分 投稿
    【視点】

    消費者庁が発表する 2020年を基準とする2024年(令和6年)1月分の消費者物価指数を見ると、総合指数は2020年を100として106.9(前年同月比2.2%上昇)、変動幅の大きい生鮮食品(生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物)を除く食料の消費者

    …続きを読む