性自認が女性の受刑者に短髪強制は「人権侵害」 大阪弁護士会が勧告

山本逸生
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 戸籍上は男性で、性自認は女性の受刑者に対し、大阪刑務所などで人権侵害にあたる対応があったとして、大阪弁護士会は11日、改善するよう法務省に勧告したと発表した。勧告は8日付。

 同弁護士会によると、大阪刑務所に収容された性自認が女性の受刑者は2018年、頭髪を2ミリに刈り上げるよう強制された。同省は訓令で、男性受刑者の頭髪を「2ミリか16ミリに全体を刈り上げる」とし、勧告書は「著しい精神的苦痛を与えた」と判断した。

 この訓令は、女性受刑者の頭髪を「華美ではなく清楚(せいそ)に」と定めており、勧告書は、男性受刑者と比べ、一定の自由を認める点も不合理と指摘。髪形の強制は自己決定権の侵害とし、同省に規定変更を求めた。

 また、同じ受刑者に対し、大阪拘置所が21年、男性の収容エリアの居室に入れた上で、他の収容者から居室内が見えないよう窓に覆いを付ける一方、居室内に監視カメラを設置していたとし、プライバシー権の侵害にあたると認定した。

 同省の11年の通知に基づく対応で、同拘置所は調査に対し、「職員が居室内を確認するのが難しくなったため」「職員によるわいせつ行為がないことを確認するため」と説明したが、同弁護士会は「他の方法でも対応できる」と判断。同省には通知の修正を、拘置所には対応の改善を求めた。(山本逸生)

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