苦しむ日本へ 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」著者息子からの教訓

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聞き手・河野光汰

 1979年、1冊の本が日本で一世を風靡(ふうび)しました。米国の社会学者エズラ・ボーゲル氏(故人)が経済大国になった「黄金期」の日本を分析した「ジャパン・アズ・ナンバーワン」。副題は「アメリカへの教訓(Lessons for America)」でした。それから45年。日本は当時の勢いを失い、2月には名目国内総生産(GDP)でドイツに抜かれて世界4位になりました。エズラ氏の息子で米カリフォルニア大(UC)バークリー校教授のスティーブン・ボーゲル氏(政治経済学)は「GDPレースから降りるべきだ」と言います。

 ――名目GDPの4位転落を、日本人は心配しています。

 心配するなとは言いませんが、悲観的になり過ぎる必要はない。経済規模だけを争う「GDPレース」を忘れるべきだと申し上げます。

 今回の問題で、見落とされているであろう二つの重要な指標があります。

私が「GDP4位」に過剰反応しない理由

 一つは、「社会的パフォーマ…

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この記事を書いた人
河野光汰
国際報道部
専門・関心分野
事件、国際情勢、スポーツ
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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2024年3月13日9時19分 投稿
    【視点】

    この記事を読むと、この30年強で日本が世界の成長から乗り遅れた背景がよくわかります。日本の間違いは経済政策ばかりに目を向け、しかも効果的な構造改革もしないまま、人材への投資をおろそかにしてきたことにつきるのではないでしょうか。「GDPレース

    …続きを読む