創造的復興とは、有識者らのアドバイザリーボード初会合

能登半島地震

久保智祥 波絵理子
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 能登半島地震の創造的復興のあり方を有識者らが議論する、石川県の「能登半島地震復旧・復興アドバイザリーボード(AB)会議」の初会合が7日、県庁であった。東日本大震災など各地の災害で復興に携わった経験などをもとに、人口減少や教育、ジェンダーなど多彩な視点から意見を出し合った。

 ABは、県が2月1日に設置した復旧・復興本部が、復興プランを5月中にもまとめるのに専門的な助言をもらうために設置。大学関係者や被災地での活動に携わってきた10人の委員が議論した。

 岩手県花巻市を拠点に、農水産物のネット通販を通じて被災地支援をしてきた「雨風太陽」の高橋博之社長は、発災後に能登に入った印象を「震災から2カ月たった被災地にしては、なぜこんなに静かなのか」と述べ、復興にあたる支援者の拠点が不足していることがボトルネックになっていると指摘した。能登空港に1千~1500人規模の作業員の宿泊場所をつくり、応急仮設住宅の建設を早めないと、被災者も計画を立てられないとした。

 東日本大震災の復興事業を手がける一般社団法人「RCF」(東京)の藤沢烈・代表理事も、「時間が経てば経つほど被災地に戻る人が少なくなる」として、「復興のタイムラインを設定し、能登にいつ戻れるのか、復興計画で示すことが重要だ」と話した。

 ジェンダーの視点の重要性を指摘したのは、減災と男女共同参画研修推進センター(東京)の浅野幸子・共同代表。東日本大震災では東北で若年人口が減る傾向があったが、とくに若年女性が減少し、人口が持続できなくなっている状況を紹介。若年女性の支援が重要だとした。

 NPO法人カタリバ(東京)の今村久美・代表理事は、子どもたちが避難先の学校に通ったり、オンラインで学んだりと学ぶ場所が多様になっているとして、「学校の集約化は避けられないが、創造的集約にするため、学校をどうデザインするか集中的に議論することが必要」と話した。

 災害復興を研究する大阪公立大の菅野拓・准教授は「まだ見ぬ問題がいっぱい出てくるのが復興の難しさ」としつつ、復興が熱量を持った人やアイデア、つながりを連れてくると指摘。「いい事業、いい解決策が出た地域は、人のつながりをうまく使える地域だったというのが結論。ハブになるような人材を育て投資するのが最大の戦略だ」と話した。

 県は、こうした委員によるアドバイスも踏まえ、3月末までに創造的復興にかかわるプランの骨子を示す。今後もAB会議を月1回ほど開くという。(久保智祥、波絵理子)

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