もはや「異端」ではないトランプ氏の強さ それでも抱える2つの不安

有料記事アメリカ大統領選挙2024

ワシントン=高野遼 合田禄
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 米大統領選に向けた共和党の指名候補争いは、「スーパーチューズデー」でも潮目は変わらず、トランプ前大統領(77)が圧勝した。ヘイリー元国連大使(52)が指名争いから撤退することにより、11月の本選挙で再び民主党バイデン大統領(81)と対決する構図が決定的となった。ただ、トランプ氏が盤石とは言い難い状況も浮かび上がっている。

 5日夜、トランプ氏はフロリダ州の自宅「マール・ア・ラーゴ」に姿を現した。「USA(ユーエスエー)」と連呼する支持者に迎えられ、演説を始めた。

 「素晴らしい夜、素晴らしい一日だ」

 トランプ氏はそう一言で「勝利」を宣言すると、その後の演説の大半はバイデン氏への批判に割いた。

 「我々なら、ロシアにウクライナへの攻撃をさせることはなかった」「インフレがすべてを破壊している」

序盤から連勝、接戦許さず

 さらに大統領選の本選がある11月5日に向けて「我が国の歴史上、最も重要な日として記憶されることになる」と強調し、「米国を再び偉大にする(make America great again)」と訴える定番の言葉で演説を締めくくった。

 指名候補争いは通例なら、接戦が続いたまま山場のスーパーチューズデーを迎えることが多い。だが今年は序盤からトランプ氏が連勝を重ね、この日を前にすでに勝負の大勢は決まっていた。結局、15州のうちトランプ氏は14州で完勝。いずれも接戦に持ち込むことさえ許さず、軒並み数十ポイントの大差をつけた。現職大統領が再選を目指す場合を除けば、異例の強さを示す結果となった。

 共和党の予備選でみえたトラ…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年3月7日0時27分 投稿
    【解説】

    トランプが中間層や無党派層に浸透しない問題や、バイデンの高齢に対する不安など、候補者の抱える問題を指摘する議論は多いが、トランプやバイデンの政策的な問題を論じるものは少ない。そもそもトランプはまともに討論会に出たことはないし、政策について演

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年3月7日10時17分 投稿
    【視点】

    記事が指摘するようにトランプは単体で見れば多くの不安要素を抱えた弱い候補だ。しかし、それを上回るバイデンの弱さが、トランプを相対的に強い候補にしてしまっている面がある。 確かにトランプは、無党派層の支持に不安を抱えているが、その一方で民主

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