太陽光パネルガラス、再生へ一歩 粟倉の財団法人、試作品製造

小沢邦男
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 太陽光パネルのリサイクルに取り組んでいる一般財団法人「PVリボーン協会」(岡山県西粟倉村)が、使用済みのパネルから抽出したガラスくず(カレット)を使って、新たなパネル用のガラスの製造に成功した。同協会は使用済み素材を原料とした太陽光パネルの再生を目指しており「技術確立に向けた大きな一歩になった」としている。

 太陽光発電システムを手がける「新見ソーラーカンパニー」(同県新見市)が開発した技術を使った。高温の蒸気で使用済みパネルを熱分解してカレットを抽出。耐火物の分析を担う「岡山セラミックスセンター」(同県備前市)で有機物や金属の混入がないことを確認し、20センチ四方のガラスを試作した。

 抽出したカレットは工業用で、材質が硬いうえ冷めやすいため加工には一手間かかるという。それでもガラス工芸作家の水口智貴さん(同県倉敷市)も加わって、加工時の温度調整など工夫を重ねて試作品を生み出した。

 太陽光パネルの寿命は25~30年といわれ、2030年代に大量廃棄が始まるとされる。そうした事情を背景に、同協会は新見ソーラーカンパニーの呼びかけで22年に設立された。

 太陽光パネルは複数の素材が強固な接着剤で固着されており、分解が難しいという。同協会は使用済みパネルをガラスや銅線、セルと呼ばれる基幹部品などの原料に戻し、新たなパネルに再生する「水平リサイクル」の体制づくりを目指している。

 コスト削減や二酸化炭素削減も期待され、藤井尊久代表理事は「25年度にはすべての材料を再生できる技術を確立し、太陽光パネルは『リボーン』が当たり前の時代をつくりたい」と話した。

 同協会では「ガラス部会」を設立し、再生したカレットを工芸作家に従来品より割安で販売することも計画。すでに再生原料で制作に取りかかっている水口さんを部会長に迎えた。(小沢邦男)

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