大手電力、電気の「昼シフト」プラン続々 余剰再エネをなるべく活用

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安田朋起
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 家庭で電気を使う時間を夜から昼にずらした方が得になる「昼シフト」の取り組みが大手電力会社で相次いでいる。太陽光発電の昼間の余剰電力を無駄なく使うためだ。「電気は夜が安い」をアピールしてきた大手電力自身が、姿勢を転換させつつある。

 電気は、発電量と使用量をそろえないと周波数が乱れて大停電になるおそれがある。各社は、24時間一定出力で稼働する原発の電気を需要の減る夜間に使ってもらおうと、夜間割安の料金体系をPRしてきた。しかし、2011年の福島第一原発事故以降は稼働が大幅に減り、その分夜間も含め、化石燃料を使う火力発電で補っている。

 一方、太陽光発電が飛躍的に増えた。夜は発電できないが、昼は電気が余るようになった。そのため、太陽光の発電を一時的に止める「出力制御」が全国的に増加。朝日新聞の集計では、23年には約45万世帯分の年間消費電力量に相当する、計約19・2億キロワット時に達した。

 出力制御を抑えようと経済産業省は23年、家庭や企業に昼間の再エネを積極的に使ってもらう「行動変容」を打ち出した。

 大手電力が目をつけたのが、家庭のエネルギー消費の約3割を占めるとされる給湯だ。近年、オール電化住宅向けにヒートポンプ給湯器が普及し、累計出荷台数は900万台を超える。ほとんどが夜間電力が安い料金プランとセットで主に夜の電気で湯を沸かし、貯湯タンクにためている。これを電気使用の「昼シフト」にいかす。

 東京電力は、昼の電気を使って湯を沸かすように給湯器の時刻設定をずらす初のキャンペーンを4月から2カ月間実施する。夜間運転が前提で湯沸かし時間を自由に変えられない機器が多いため、「現在時刻」の方をわざとずらして沸き上げを夜から昼に移行する「奇策」だ。例えば、8時間ずらせば「午前0~6時」の沸き上げが、再エネの増える「午前8時~午後2時」になる。

 電気使用の昼シフトが達成できれば、想定される電気代増加分を数百円上回る2500円相当のポイントを発行する。それ以上に電気代が増えても、ポイントを追加して得になるようにする。

 東電は「出力制御の可能性が…

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