アートの扉、気軽にたたいて 3年の休館経て横浜美術館が出した答え

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西本ゆか
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 大勢が行き交う街なかで美術館はどんな場所になれるだろう。3年に及ぶ大規模改修工事による休館を経て横浜美術館横浜市西区)が出した答えは、人々が集い、憩い、日常の暮らしの中で訪れる場所へと変貌(へんぼう)し、芸術の扉を気軽にたたく機会へとつなげることだった。「第8回横浜トリエンナーレ」の開幕に合わせた15日のリニューアルオープン後も進化を続け、来年2月の全館始動をめざす。

遠いお城に呼ぶより…

 「多くの美術館が都市部から離れた城の中などにあるのに対し、ここはみなとみらいの商業地区。この恵まれた立地を生かさぬ手はない」。同館長の蔵屋美香さんは力を込め、続ける。「通りすがりの人々を美術館に招き入れるのは、遠いお城に人を呼ぶより、断然楽なのですから」

 1989年開館。今回の改修は老朽化した空調設備の更新が主眼で、昨年8月末までを見込んだ工期が、空調機器に必要な半導体の不足により同11月末にずれ込む要因にもなっていた。

 「空調設備は美術品管理に重要。でも来館者には見えにくい」。3年も休館するのだから目に見える変化も創出したい。その舞台となるのが入館料なしで入れる入り口すぐの大空間「グランドギャラリー」だ。

ぬくもりのある場所へ

 改修前は椅子や机もほとんど…

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