【詳報】豊島将之九段が名人挑戦決めた夜、残留した2人の雄弁な沈黙

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北野新太 村瀬信也 佐藤圭司
藤井聡太名人も登壇、将棋界の一番長い日・大盤解説会LIVE【第82期将棋名人戦・A級順位戦】
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 藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=への挑戦権を争う第82期将棋名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終9回戦が29日午前9時から、静岡市葵区の料亭「浮月楼(ふげつろう)」で5局一斉に指される。

 順位戦の最上位に君臨する10傑が挑戦と残留を懸けて戦い、ファンが深夜まで決着を見守るA級最終戦には「将棋界の一番長い日」の通称がある。持ち時間は各6時間。

 全5局の模様と藤井名人ら出演の現地大盤解説会はユーチューブ「囲碁将棋TV」で中継し、棋譜は朝日新聞デジタルに掲載する。

将棋界の一番長い日の対局カード

3人にプレーオフの可能性、6人で残留争い

 「一番長い日」の対戦カードは以下の通り。

 ▼豊島将之九段(6勝2敗)―菅井竜也八段(5勝3敗)

 ▼永瀬拓矢九段(5勝3敗)―中村太地八段(4勝4敗)

 ▼渡辺明九段(4勝4敗)―広瀬章人九段(3勝5敗)

 ▼佐藤天彦九段(4勝4敗)―稲葉陽(あきら)八段(3勝5敗)

 ▼斎藤慎太郎八段(3勝5敗)―佐々木勇気八段(3勝5敗)

 単独首位の豊島九段が勝利すると挑戦権を獲得。菅井八段、永瀬九段はプレーオフ進出の可能性がある。

 降級は2人。佐藤九段、中村八段、広瀬九段、斎藤八段、稲葉八段、佐々木八段の6人で残留を争う。(北野新太)

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A級残留した2人の無言

 A級の誇り。

 A級で戦う苦しみ。

 A級を守る喜び。

 全てを語る雄弁な沈黙だった。

 今期から参戦した新A級の中村太地八段(35)と佐々木勇気八段(29)が残留を決めた。最後、他の対局結果に運命を委ねた両者は対局後、記者から事実を伝え聞くと、長い沈黙に落ちた。言葉を失った後、小さな声を震わせながら思いを口にした。

 中村は永瀬拓矢九段(31)に敗れたが、感想戦中に降級回避が確定した。

 問い掛けに対し、約50秒間…

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