首相「捨て身」の政倫審出席 深まる孤立、党内に渦巻く疑心暗鬼

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藤原慎一 今野忍
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 自民党の派閥による裏金事件をめぐり、岸田文雄首相は28日、衆院政治倫理審査会自民党総裁として出席することを表明した。公開での出席を拒み続ける安倍派幹部らに業を煮やした乾坤一擲(けんこんいってき)の決断に映るが、その実態は機能不全に陥る政権で孤立する首相が追い込まれた末の表明だったと言える。

 首相は28日午前、首相官邸で記者団の前に現れ、「党総裁として政倫審に出席し、説明責任を果たす」と語った。現役の首相が政倫審に出席するのは初めてだ。「こういった状況のままでは国民の政治に対する信頼を損ね、政治不信も深刻になる」「マスコミオープンのもと、説明責任を果たしたい」と説明した上で、出席を申し出ていながら、野党の公開要求を拒んでいた安倍派幹部らを念頭に、「志のある議員に説明責任を果たしてもらうよう、あらゆる場で、これからも努力してもらうことを期待している」とも述べた。

 首相の出席表明で、27日まで公開の場での弁明をかたくなに拒否していた安倍派幹部たちは急転直下、公開での政倫審への出席に転じた。

 「公開で出ます。応じます」。安倍派で、派閥の事務を取り仕切る事務総長の高木毅・前国会対策委員長は一転、公開での出席を認めた。

 首相は27日まで手詰まりだった。

 政倫審は「原則非公開」。公…

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年2月28日21時43分 投稿
    【視点】

    岸田首相の決めの言葉は「前面に立つ」「先頭に立つ」。ただし決して口にしないのが、「最後までやり抜く」です。安倍元首相の国葬決定、所得減税、派閥解消のすべてがこのパターンです。今回もおそらくそうでしょう。しかし政倫審で終わるかどうかは首相自身

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