膨らむTSMCへの補助額 「防波堤も必要」財務省が突きつけた条件

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編集委員・大鹿靖明

TSMC誘致の真相③

24日に開所式を迎えた熊本のTSMC。なぜ日本に進出し、巨額補助金が投じられたのか、真相を探る。(全3回)

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 自民党衆院議員の関芳弘は2021年4月、バイデン米大統領が就任後、初めて会う外国要人に菅義偉首相を選んだことに関心をもった。このときの日米共同声明は「台湾海峡の平和と安定の重要性」と踏み込んだ。関が、同行した外務官僚に尋ねると「中国が台頭するなか、日米が半導体で協力する必要性がある」という。台湾には半導体生産が集中し、「台湾有事」の際に半導体が供給できなくなると、世界中の生産活動が滞る、というのだ。

 関は経済産業政務官や同副大臣を務め、経産省の政策に土地勘がある。そこで「党内に半導体議連を作ろう」と、経産相や経済再生担当相を務めた商工族のボス甘利明に相談すると、甘利は二つ返事で了承した。

 「産業育成ではなく、国家戦略としてなら引き受けようと思った」。「半導体戦略推進議連」と名付け、甘利は安倍晋三麻生太郎の2人の元首相に参加を呼びかけた。安倍は即決。麻生も翌日メールで「乗った」と返してきた。

■警戒する財務省、「政治の声…

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