第3回私だけでも生きるのが大変なのに…子どもは「負担」、韓国若者の葛藤

有料記事「出生率0.72」の韓国 超少子化社会のリアル

稲田清英=ソウル 河野光汰

 今年1月、私(稲田)はソウルで開かれていた懇談会の取材に向かった。

【連載】「出生率0.72」の韓国 超少子化社会のリアル

世界的にも異例のスピードで少子化が進む韓国。出生率が低下し続ける背景には何があるのか。同じ悩みを抱える日本にとっても人ごとではない隣国の「リアル」を探ろうと、3人の記者が取材に向かいました。

 韓国政府の主催で、結婚や子育てをめぐる状況を市民から聞き取ろうと、昨年末以降、何度か開かれていた。「子どもが2人以上いる親」「未婚の若い世帯」などと対象者を分け、この日は「子ども1人を育てる親」が対象だった。

 ソウルに住む小学校教員の魯沅錫(ノウォンソク)さん(31)は、同じ教員の妻と2歳の娘を育てている。こんな発言が印象的だった。「周りの友人の中でも、子どものいる人がいない。子どもを持つことが『喜び』ということよりも、『お金がとてもかかり、大変な存在だ』という考えと結びつくように変わっているようだ」

 後日、改めて魯さんに会い、話を聞いた。

 親しくしている10人ほどの同期の友人のうち、結婚しているのは自身ぐらいだという。自身と同じ世代からは、今の社会で結婚したり子どもを持ったりするには相応の「階級」であること、例えば、安定した職業に就いていること、などの条件を満たしていないと無理だ、といった思いを感じる。

 中小企業に勤める友人からは…

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    岩本菜々
    (NPO法人POSSE学生メンバー)
    2024年2月29日12時42分 投稿
    【視点】

    記事に出てきた若者の声が、私たちが日本の若者世代を対象に行ったアンケートに寄せられた声と共通していると感じました。 POSSEが2022年に行った、奨学金返済中の20-30代を対象としたアンケートでは、以下のような声が寄せられました。

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    阿部藹
    (琉球大学客員研究員・IAm共同代表)
    2024年2月29日16時47分 投稿
    【視点】

    ちょうど今朝の情報番組で流山市の子育て政策の特集が放送されていた。少子高齢化の時代に、流山市では10年間で人口が4.2万人増加し、中でも30代の流入超過人口が多く、10歳未満の子ども世代も増加しているという。(https://diamond

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