障害者の自立支援団体の歩みを本に ~まちで生きる、まちが変わる~

谷口哲雄
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 茨城県つくば市を拠点に障害者の自立を支援する団体「ほにゃら」の歩みをまとめた本「まちで生きる、まちが変わる つくば自立生活センターほにゃらの挑戦」が出版された。障害者が自分らしく暮らせる社会をめざした20年余の活動をたどっている。

 ほにゃらは2001年5月、障害を持つ当事者らによって設立された。障害者でも「どこに住むか」「どうやって自分の生活をまかなうか」などを自由に選べるよう、各種相談や情報提供などの支援活動をしている。行政に具体的な政策を提言し、実現をめざす取り組みも進める。

 著者のフォトジャーナリスト柴田大輔さん(43)は土浦市出身。写真専門学校を卒業後、コロンビアなど南米諸国に通い、人々の暮らしや社会問題をテーマに撮影を続けてきた。

 18年に結婚して茨城に戻り、知人の紹介でほにゃらの事務所に出入りするようになった。21年からは介助のアルバイトもしている。同年、ほにゃらの写真展を開いたのを機に、メンバーや関係者に取材を始めた。

 本には十数人の障害者や家族、介助者が登場する。それぞれの障害者が自立をめざしたきっかけや実現までの道のり、介助者がこの仕事に就いたいきさつなどをつづる。事務所周辺で商店の入り口にスロープが設けられるなど、街で起きている変化も紹介した。

 柴田さんは「重い障害があっても主体的に生きようとする。そんな一人ひとりの人たちによって、街が変わり、市の制度が変わることを伝えたかった」と話す。

 ほにゃら創設メンバーで現事務局長の斉藤新吾さん(48)は自身が重度の障害者。「地域を良くしようと、それぞれの人たちが頑張ってきた。つくばの片隅に、こんな活動があることを知ってもらえたら」と期待を語る。

 夕(せき)書房刊。四六判カラー272ページ。税込み2200円。(谷口哲雄)

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