ここが変だよ保育園 50年勤めた園長、「当たり前」問い直した先に

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聞き手・大坪実佳子
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 全国の保育施設で昨年、相次いで不適切な保育が発覚しました。

 保育士がまだ「保母」と呼ばれていた1973年、19歳から保育園で働いてきた東京都港区東麻布保育園の入舩益夫園長(69)は、「子どもを対人間としてとらえ、リスペクトしているか」と問いかけます。

 50年間、どんな思いで子どもたちを見つめ続けてきたのか聞きました。

 ――不適切な保育、どう捉えていますか。

 不適切なかかわりをしてしまうのは、「子どもは未熟でまだ何もわからない」と思っているからではないでしょうか。

 保育園ではよく「ちゃんと座りましょう」「静かにお話を聞きましょう」などと園児に言いますね。そこにずっと疑問を感じてきました。

 園児がバラバラになると困る、という大人の都合を押し付けていませんか。

 面白い話だったら声を出して笑っていいはずなのに、どうして静かにすることを求めるのでしょう。大事な話だからなど、なぜそうしてほしいか理由を伝えずに指示することが多いと感じています。

 保育園や幼稚園などでよく歌われる歌のなかにも、例えば「おもしろかった おもしろかった おあそびも きょうはおしまい さようなら」「おいしいおやつ いただきましょう」といった歌詞の曲がありますが、その日が面白かったかどうかはその子が決めることです。おやつがおいしいかどうかも、食べてみなければわからないはず。

 保育者ありきで、保育者の言う通りにして楽しいだなんて、ずいぶん自分勝手な保育だと思いませんか。

従順に見えるのは忖度かも

 本来は、「おもしろかったね…

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2024年2月29日10時19分 投稿
    【視点】

    生きていくために人として大切なことは幼稚園や保育園で学ぶ。昔から巷間ではそう言われてきましたし、私自身もそう信じ込んでいました。大学教員となったいまもまだ、思いやりなどの価値観はこの時期にかたちづくられると信じています。この4月に年長になる

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    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2024年2月29日11時17分 投稿
    【視点】

    入船園長が運営する保育園では年長さんのクラスで毎週ミーティングをされていることを知り、フランスのある幼稚園で行われた「哲学」の時間を収めたドキュメンタリー映画を思い出しました。 そのドキュメンタリーには、命、ジェンダー、人種、愛など、

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