脱線事故の弘南鉄道、改善報告書提出 「摩耗検査で必ず測定機使用」

古庄暢
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 レールの摩耗検査を適切に実施していなかったなどとして、国土交通省東北運輸局から改善指示を受けていた青森県の弘南鉄道は22日、同運輸局に改善報告書を提出した。今後、指示を受けて見直した社内の施設基準や検査マニュアルに基づき、レールの定期検査を実施していくという。

 昨年8月に起きた大鰐線の脱線事故を受け、東北運輸局は12月に同社への保安監査を実施。同社がレールの摩耗検査を行う際に測定機を使用せず、ほぼ目視のみで実施していたことや、施設基準で定めた月1回の「列車動揺検査」や週1回の線路の巡視を、冬場は実施していなかったことなどが判明し、1月23日付で同社に改善指示を出して報告書の提出を求めていた。

 この日、同社は平川市の本社で記者会見し、報告書を提出したことを明らかにした。

 報告書ではレールの摩耗検査で必ず測定機を使用し、測定結果の数値を検査表に記載して現場管理者が摩耗状態の把握を徹底するとした。また、動揺検査は3人体制で実施し、巡視状況も施設管理者が月初めに巡視簿を確認すると定めたという。船越信哉常務は「改善指示を受け、管理体制を強化した。地域鉄道としての信頼を回復していきたい」と話した。

 ただ、人員不足のため検査を実施する現場管理者と、検査結果を把握する施設管理者を、技術課長が兼務している状況だという。船越常務は「本来は兼務は望ましくない」とした上で、「人材募集をしているが、なかなか集まらない状況だ。鉄道会社のOBなどにも声をかけ兼務を解消したい」と話す。

 同社では脱線事故を受けて発覚したレールの摩耗により、運休中の代行バスの経費や線路の補修費が経営に大きな影響を与えているという。このため27日、県に財政支援を求める要望書を提出する予定だ。(古庄暢)

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