「人を殺せない」日本に来たウクライナの19歳 逃げたと言われても
植松佳香 後藤遼太
2年前にウクライナを出国した時、ロベルトさんはまだ17歳だった。
徴兵や総動員令による出国禁止の対象となる18歳に満たない。だが、国外避難を「逃げた」と見る人は、少なくなかった。
隣国ポーランドへ向かう途上で「国に残って戦え」と責めてくる大人がたくさんいた。避難先のポーランドやリトアニアでも、何度も「戦いたくなくて、逃げたな」と言われた。戸惑った。
「僕は17歳です。なんで戦争に行かなければいけないんですか」
反論すると、殴られたり、ナイフや銃を向けられたりしたこともあった。それでも、母国を後にするという判断が揺らぐことはなかった。
身寄りの無い日本に来て1年半がたち、19歳になった。
「ウクライナにいま、僕の居場所はない。友人はただの『知り合い』に変わってしまいました。帰国しても、自分のことを外国人のように感じると思います」
すべてが変わった17歳の日常
選択に後悔は無い。けれど…