「人を殺せない」日本に来たウクライナの19歳 逃げたと言われても

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植松佳香 後藤遼太

 2年前にウクライナを出国した時、ロベルトさんはまだ17歳だった。

 徴兵や総動員令による出国禁止の対象となる18歳に満たない。だが、国外避難を「逃げた」と見る人は、少なくなかった。

 隣国ポーランドへ向かう途上で「国に残って戦え」と責めてくる大人がたくさんいた。避難先のポーランドやリトアニアでも、何度も「戦いたくなくて、逃げたな」と言われた。戸惑った。

 「僕は17歳です。なんで戦争に行かなければいけないんですか」

 反論すると、殴られたり、ナイフや銃を向けられたりしたこともあった。それでも、母国を後にするという判断が揺らぐことはなかった。

 身寄りの無い日本に来て1年半がたち、19歳になった。

 「ウクライナにいま、僕の居場所はない。友人はただの『知り合い』に変わってしまいました。帰国しても、自分のことを外国人のように感じると思います」

すべてが変わった17歳の日常

 選択に後悔は無い。けれど…

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この記事を書いた人
植松佳香
東京社会部|教育担当
専門・関心分野
子ども、教育、労働、国際関係
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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年2月25日10時33分 投稿
    【視点】

    オーストラリアに本部をおく経済平和研究所(IEP)が毎年発表を行っている「世界平和度指数(Global Peace Index)」の2023年データによれば、ウクライナの20歳から24歳の男性の65%が国外に逃亡、あるいは紛争で死亡している

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    平尾剛
    (スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)
    2024年2月26日8時46分 投稿
    【視点】

    私にはロベルトさんが「逃げた」とは思えません。人を殺さない選択をしただけです。勇気を出して困難な決断をしたその行動に、私は敬意を表します。家族と離れ、縁もゆかりもない異国の地に行ってまで自らの信念を貫くなんて、そう簡単にできることではありま

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