靖国で噴出する「旧軍意識」 宗教社会学者が見る自衛隊の集団参拝
陸上自衛隊や海上自衛隊の幹部が部下と一緒に靖国神社(東京・九段)に集団で参拝している実態が次々と明らかになった。自衛隊は「自由意思による私的参拝」とし、「部隊参拝」ではないと主張している。戦後憲法のもとで旧日本軍とは制度的に断絶したはずの自衛隊と靖国神社の密接な関係をめぐり、上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)に問題点を聞いた。
――今年1月には陸上幕僚副長ら22人、昨年5月には海自練習艦隊司令官ら「多くの人間」(海幕)が靖国神社に集団参拝した。
軍人や軍属の戦死者らをまつる靖国神社は戦前、国の管轄下にあったが、今は民間の宗教法人であることは争いようがない。陸幕副長らは休暇を取ったとはいえ、事前に「実施計画」を作り、参加者を募った。参拝という宗教行為を陸自として組織的に行ったように見える。個人の信教の自由は誰にでもあるが、国や公的機関が特定の宗教法人と特別な関わり方を持つことは慎まなければならない。
海自は制服姿で集団参拝をしている。公人としての性格が増すので、公私混同と言える。靖国神社の社報には、明らかに組織的に参拝した様子が載っている。もし違うのであれば、本来海自は靖国神社に抗議しなければならない話だ。
――自衛隊側は次官通達の禁じる「部隊参拝」ではなく、「自由意思に基づく私的参拝」だと主張する。
ごまかし、詭弁(きべん)で…
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- 【解説】
インタビューの補足です。「自衛官にも信教の自由がある」という人もネット上にはたくさんいますが、この問題においては全くトンチンカンな指摘です。別に、自衛官でも公務員でも、休日などに個人個人で、どの宗教法人に、自分の足で向かって、参拝して、私費
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