歴史をめぐる「像」の対立に終止符を 「帝国の慰安婦」の朴裕河さん

有料記事徴用工問題

聞き手・箱田哲也
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 日韓の間に横たわる植民地支配に伴う歴史懸案は、慰安婦問題に続き、徴用工問題も政治決着をみた。日韓で大きな論争を呼んだ「帝国の慰安婦」の著者、韓国・世宗大学名誉教授の朴裕河さんは長く両国間の「和解」のあり方を考え続けてきた。現状をどうとらえ、今後は何が必要だと考えているのだろう。

 ――著書では、韓国社会に浸透する「少女たちが連れ去られ売春を強要された」という慰安婦のイメージだけではない、多様な姿に光をあてました。何を最も訴えたかったのですか。

 「慰安婦のことを一方は『性奴隷』と言い、もう片方は『売春婦』だと呼びます。この対立する二つの像をめぐる議論に終止符を打ちたかった。どちらも慰安婦のありのままの生を無視しています。それに売春差別という点も共通しています」

 ――売春差別ですか?

 「慰安婦は決して売春婦など…

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    箱田哲也
    (朝日新聞記者=朝鮮半島担当)
    2024年2月22日16時15分 投稿
    【解説】

    久しぶりに朴裕河さん思いを聞き、長いインタビュー記事にまとめた。質問の中で、朴さんから一つだけ訂正を求められた。答えではなく「質問」の訂正要求。それは私が「朴さんは長年、日韓の和解を訴えてきました」としたのに対し、「自分が求めてきたのは、過

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