日立造船の供託金原告へ 元徴用工訴訟初の受領、日本政府は「遺憾」
太田成美=ソウル 笹川翔平 中村建太
日立造船に損害賠償の支払いを命じる判決が確定した韓国の元徴用工訴訟をめぐり、原告側は20日、同社が裁判所に預けていた供託金6千万ウォン(約670万円)を受け取ったと明らかにした。一連の訴訟で、日本企業の資金が原告側に渡るのは初めて。
同社をめぐっては昨年12月、大法院(最高裁)判決で5千万ウォンの賠償命令が確定。同社は二審で敗訴後の2019年に、韓国国内での資産の差し押さえを防ぐ目的で、6千万ウォンを裁判所に供託していた。原告側は1月、供託金の差し押さえを申請した。原告側によると、賠償額は遅延金も含め約1億ウォンになるという。
原告の元徴用工は故人で、遺族が裁判を引き継いだ。原告側の代理人弁護士は「事実上の賠償が日本企業によって行われるという点で意味がある」と歓迎した。
林芳正官房長官は20日の記者会見で、同社の供託金が原告側に引き渡されたことについて、1965年の日韓請求権協定に反する判決に基づく措置と批判し、「日本企業に不当な不利益を負わせるものであり、きわめて遺憾だ」と述べた。「我が国の厳重な抗議の意を韓国政府に対してしかるべく伝達する」との考えを示した。
一方、一連の訴訟では、三菱…