「男性中心」変わる祭り 深刻な担い手不足、条件つきで女性参加も

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富岡崇 北村有樹子 渕沢貴子 鈴木洋和 長野佑介
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 男性中心の祭りや伝統行事に、変化をもたらそうとする人たちがいる。伝統やしきたりが今も大切にされるなか、ジェンダー平等や多様性を尊重する考え方が広がっている。祭事はつながりを維持する役割を果たすが担い手が不足しており、女性が加わることで解決の糸口を見いだそうとする地域もある。

コロナ禍がきっかけで変化

 災厄を一身に引き受ける神男(しんおとこ)に触れようと、下帯姿の裸男(はだかおとこ)たちが「もみ合い」を繰り広げる。1200年以上の歴史がある奇祭「はだか祭」(儺追(なおい)神事)。愛知県稲沢市の尾張大国霊(おおくにたま)神社(国府宮)で毎年2月にある祭りに、初めて女性が参加する見通しとなった。

 「ただし、もみ合いに女性が参加するというわけではありません」と禰宜(ねぎ)の片山貢さん(60)。参加するのはその前に行われる「笹(ささ)の奉納」。厄よけの願いを込めた「なおい笹」を担ぎ、威勢良く境内に駆け込む祭りの一行事だ。

 祭りに女性が参加することを禁止する決まりはないが、「裸での参加」という慣習のため、事実上、これまで女性は参加できなかった。

 変化を引き起こしたのがコロナ禍だった。2020年から裸でのもみ合いが見送られたが、21年と22年は「着衣のまま、密にならない人数」という条件で笹の奉納を実施。それならば、と女性たちが参加した。

 こうした実績もあり、昨年9月ごろ、地元の女性団体から正式に参加の申し出があり、今年の参加が決まった。今月22日の祭りには複数の女性団体が参加予定で、そのうちの一つの「縁友会」の鈴木彩加副会長(36)は「父親が参加している姿を見たとき、『男性だったら出られたのに』と思ったことを覚えている。ずっと出たかったが、ようやく願いがかなったという気持ち」と喜ぶ。当日は法被姿で参加する予定だという。片山さんは「男女問わず、奉納したいという気持ちはありがたい」と話す。

参加できても残る壁

 女性参加が進む一方で見えな…

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    富永京子
    (立命館大学准教授=社会運動論)
    2024年2月20日21時27分 投稿
    【視点】

    たんに「担い手が少ないから女性に」という形だけではない、祭礼への多面的な女性の参加のあり方が見られる興味深い記事だと思いました。分野柄ある程度仕方のないこととは思いますが、コメントをしている識者はお二人とも男性なのですね......。

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