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第1回宮沢元首相の「日録」見つかる 戦後40年間克明に「第一級の史料」

有料記事宮沢喜一日録 戦後政治の軌跡

池田伸壹
【動画】宮沢喜一日録 戦後政治の軌跡 プロローグ
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 宮沢喜一・元首相(1919~2007)の40年間に及ぶ詳細な政治行動記録が見つかった。期間は、佐藤栄作内閣経済企画庁長官に就任した66年12月から死去前年の06年9月に及ぶ。保守本流の政治家として戦後日本の軽武装・経済重視路線を築いた宮沢氏の折々の行動や考えがうかがえるほか、自民党内の権力闘争をめぐる具体的な記述もある。

 記録は大学ノート185冊に及び、宮沢氏の事務所の執務室に、木箱に入れて保管されていた。政治学者で東京大学名誉教授の御厨貴氏が遺族から託され、研究者グループを組織して朝日新聞と共同研究。「宮沢喜一日録」として内容を分析するとともに、データベース化を進めてきた。

 「日録」は宮沢氏が最晩年まで自らの政治活動の記録として手元に置いて活用していた。原則1日当たり2ページが充てられ、左のページには秘書が作成したその日の細かい日程が、会合の出席者とともに記されている。右のページには宮沢氏の直筆で、会談内容や簡潔な感想のほか、帰宅後に受けた電話の相手や内容などが記されている。

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 「日録」には、宮沢元首相の最大の強みであった外交政策、蔵相などとして手腕を発揮した経済・財政政策、首相として直面した政治改革など、宮沢氏自身と戦後日本の歩みが刻まれています。各テーマについて日録を手がかりに取材した記事を25日以降も随時配信します。

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2024年2月25日11時40分 投稿
    【解説】

    宮澤喜一日録研究会には、私も出席しており、あえてそのさわりだけでも紹介したいと思います。この日録は、秘書のつけた毎日の動静が左ページにあり、右ページは余白となっています。宮澤は鉛筆で主としてこの右ページにメモを書き込んでいますが、全体として

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2024年2月24日19時8分 投稿
    【視点】

    ロシア初代大統領のエリツィン氏について何を書き残しているのか、非常に興味があります。 宮沢氏の首相在任は1991年11月5日から1993年8月9日で、ソ連崩壊による新生ロシア誕生からの3年間と、ほぼ重なります。 宮沢氏はソ連崩壊の2日後

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