富士山登山鉄道構想、山梨県「鉄道ありきではない」

池田拓哉
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 富士山の課題について、登山口がある山梨・静岡両県の市町や山梨県、各種団体が意見交換する会合があった。県が富士スバルラインで実現をめざす富士山登山鉄道構想には反対意見が続出し、県の担当者が「登山鉄道ありきではない」と釈明する場面もあった。

 会合は16日に山梨県富士吉田市であった。富士山の世界文化遺産登録から10年を経過したことを記念して市が主催し、15団体が出席した。冒頭にあいさつした堀内茂市長は富士山登山鉄道構想に対し、多額の事業費がかかるとして「時代に逆行する構想を誰が望むのか」と批判した。

 各団体からも「スバルラインは一番、噴火口ができやすい場所。今の時代に行うことではないのではないか」(富士山吉田口旅館組合)、「富士山を傷つけることってどうなのかな、という意見が多々ある」(富士吉田商工会議所青年部)などと反対意見が相次いだ。

 県の和泉正剛・富士山登山鉄道推進監は「鉄道ありきではないということは再三申し上げている。世界レベルの観光圏にふさわしい交通システムを皆さんと考えていきたい」と述べた。

 そのほかの富士山の喫緊の課題として、外国人に対するごみの持ち帰りの指導や、5合目における無線LAN(WiFi(ワイファイ))環境の整備が指摘された。

 県が今夏から1日あたり上限4千人とする入山規制の方針を打ち出したことを受け、静岡県側では徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」をする人らの流入が懸念されている。富士宮口がある静岡県富士宮市の担当者は「登山シーズンには何らかの手を打つことが必要と考えている」と述べた。(池田拓哉)

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