第26回企業や有権者から政治家を引き離す 大統領選疑惑から韓国が得た教訓

有料記事

聞き手・ソウル=太田成美

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件は、隣国の韓国でも大きく報道されました。かつて大統領選をめぐって財閥から巨額の資金が流れる事件が起きた韓国では、これを機に政治資金の関連法が大きく改正されました。韓国の政治資金規制について、ソウル大の康元沢(カンウォンテク)教授(政治学)に聞きました。

 ――韓国では2002年の大統領選で、財閥から盧武鉉(ノムヒョン)大統領側近ら与野党への資金提供疑惑が持ち上がり、逮捕者も出ました。

 韓国の政治資金問題は、この事件を機にかなり改善されました。当時、「チャテギ」と呼ばれるトラックごとお金を受け渡しする方法が使われました。野菜をトラック単位で売り買いする商習慣「チャテギ」からきたものです。小型トラックにお金を積み、高速道路のサービスエリアでトラックのカギを渡すのです。こうしたことが発覚して国民の強い怒りを買い、政治資金規制が厳格化されました。

 その一つが、政党支部の廃止です。日本も同様だと思いますが、支部の事務所を維持するには職員を1~2人雇い、来客があれば飲み物も用意しなければならない。その費用も調達しなければならないとなれば、あれこれ癒着も生まれます。

政治家がつり上げる国庫補助金

 ――企業による寄付も禁止されているのですね。

 そうです。これによって企業…

この記事は有料記事です。残り1401文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
太田成美
政治部|外務省担当
専門・関心分野
朝鮮半島情勢、日韓関係、ジェンダー
政治資金問題

政治資金問題

自民党派閥が政治資金パーティー収入を裏金化して所属議員に還流し続けていた裏金問題。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]

連載政治とカネを問う(全26回)

この連載の一覧を見る