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第4回自民議員に「会費」で月1万円の企業献金 「やめられない」ジレンマ

有料記事企業献金の深層

藤田知也
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 鋳物などの工場が点在する埼玉県川口市

 その一角にある事務所で、製品の受発注に使うファクス機が一枚の紙をはき出した。地元出身の国会議員が、夜の民放番組に出るという「出演情報」の告知だ。

 「こんな情報のためにお金を払っているわけじゃないのにね」

 紙を手にした女性がため息をつく。

 家業を受け継ぐ夫と結婚して数十年。経理も担う女性の頭に浮かぶのは、毎月1万円、会社の銀行口座から「会費」名目で引き落とされていくお金のことだ。

 決して順風とは言えない経営のなか、なぜ年12万円を払い続けるのか。

 夫には何度か問いただしたことがある。返ってくるのはつれない返事ばかりだ。

結婚式に祝電、葬式に枕花

 見知らぬ出費に気づいたのは、ずいぶん前のこと。お金の行き先は、自民党議員の後援会。夫の父親が始めた支払いだった。

 何のための会費か。なぜ1万…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年2月19日5時54分 投稿
    【視点】

    「見返り」があればあったで良い話ではないけれど、なにやら「羽振りが悪くなった地域のボス」をめぐる情景っぽく見えてしまうのが侘しい。また、この記事で挙げられているのは中小の「小口」後援での話であり、「大口」後援コースの場合はそのあたりどうなの

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年2月19日8時9分 投稿
    【視点】

    「そのままでいいよ。あえてやめる必要はないから」。埼玉県川口市の経営者の、まさにこの一言。保守ではなく惰性に支えられる自民党。そうした選択肢しか示せない政界における、責任感ある多様性の欠如。2012年に自民党が政権に復帰して以降の「一強多弱

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