迫るラファ作戦、固唾のむエジプト 本当にこわいのは「ガザ避難民」

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エルサレム=其山史晃

 イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ最南部ラファで本格的な軍事作戦を展開する方針を示しているのに対し、境界を接するエジプトが警戒感を強めている。逃げ場を失った大量の避難民が押し寄せる事態となれば、自国の脅威になるためだ。アラブ諸国のなかでいち早くイスラエルとの平和条約を結んだことで知られるエジプトだが、戦闘が激化すれば、両国関係の緊張は避けられそうにない。

 昨年10月7日にイスラム組織ハマスから奇襲を受けたイスラエルは、まずガザ北部から中部にかけて軍事作戦を展開。住民は戦火を避けて南に向かって逃げ、現在、ラファにはガザの人口約230万人のうち約140万人が集中している。米国や国際社会はイスラエルに住民の安全確保策を求めているが、地上軍が侵攻すれば、大混乱は避けられない。

 エジプト政府は11日、「人道的大惨事を悪化させる危険性がある」として、ラファでの軍事作戦に反対する声明を出した。ガザとの境界付近の警備を強化しており、ロイター通信は9日、エジプト当局者の情報として、1月末以降に約40両の戦車や装甲車を送ったと報じた。

シナイ半島に移住なら、「平和条約の停止」報道も

 ガザとエジプトの境界には…

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この記事を書いた人
其山史晃
中東アフリカ総局長
専門・関心分野
中東、安全保障、地政学、テロリズム
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]